生きる/攝津正
なに疲れるような事をした記憶もないのに不思議だ、と攝津は思った。
歯医者から帰って、少し横になって休むが疲労感は減じぬ。今度は皮膚科に行って来た。ひょうそのほうは大分良いようで、足の裏の皮膚が角質化しているのを削って貰って来た。
疲労すると性欲が昂進するのに攝津は困った。いきなり異性(女性)への恋愛感情?が芽生えたりする。だが、攝津は自分で自分の欲望や感情を無視しようと努めた。欲望を持った所で叶う見込みがないのであれば、意味が無い、と思った。
火曜日、攝津は仕事だったが、二時間働いただけで欝でダウンし早退してしまった。もう限界、辞めるしかない、とも思う。濃厚な罪意識と終末感。自分自
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