生きる/攝津正
 
ニート』という本のレビューを書いていたが、攝津はその本については聞き齧った程度だったが、自営幻想を無責任に煽る姿勢には疑問を感じた。自営を始めて失敗したらどうするのか。個人事業は無限責任である。更なる地獄が待っているだけではないのか。ニートやひきこもりの多くが、経営の才能を持っている訳でも無いだろうし、商機を掴むに敏である訳でも無いだろう。彼・彼女らの人生に決定的な壊滅を与えかねぬ危険な幻想を振りまく事に、著者は責任を感じないのだろうか、と攝津は考えた。

 月曜日、病院を二軒梯子するので、攝津は仕事を休んだ。
 先ずは歯医者に行ったが、朝九時過ぎに目覚めたのに、眠くて堪らぬ。昨日、そんなに
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