生きる/攝津正
 
収入が無い事が不安だった。父親は「電車に乗りたくないから」という理由で仕事を辞め、母親はカラオケ教室を解散してしまった。そして攝津自身の収入だけでは、住宅ローン一本すら払えぬ。こんな事で攝津家の家計は成り立っていくのだろうか? 攝津には全く訳が分からなかった。七十四歳にもなる両親の労働を当てにする自分も自分だと思ったが、現実条件に親は盲目だとも思った。親は、攝津がいつか「一発当てる」と信じ切っているのだ! そんな事などあり得ようも無いというのに。そんな無根拠な妄信が攝津を酷く苦しめていようとは、恐らく親には思いもよるまい。
 ところで、レイさんというマイミクシィの方が今一生の『親より稼ぐネオニー
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