生きる/攝津正
取料金として、前田さんから一万円が振り込まれていたが、攝津は恐縮した。お金を頂けるのは凄く有難いし助かるのだが、自分はそれに値する事をやっていないのではないかとの疑念が拭えぬ。地域通貨投げ銭でさえ、頂けぬ場合が多いのだから。
インターネットの世界は基本は無償だと攝津は考えていた。それが良い所だと思っていたが、人間金が無ければ生きていけない。少なくとも資本主義社会では。そして、現在のところ、資本主義がどうにかなる見込みは全く無い。お金が無くなる社会などやってきそうにも無い。現状を受け容れて生き延びる術を探らねばならぬようである。その事も攝津を憂鬱にした。攝津は資本主義社会への不適応児である。最初
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