生きる/攝津正
 
解し得ない時代錯誤、場違いの人であった。

 倉数さんは攝津の家に遊びに来て、帰った後、『自虐の詩』という四コマ漫画を貸してくれた。数年経つが、それはいまだ攝津の書棚にある。倉数さんは攝津の自虐構造を察知し、それに適当な物を貸し与えてくれたのである。また、倉数さんは攝津をモデルにした愚かな人が出てくる小説を書いた。面白い小説だったが、それが入っていたパソコンがクラッシュしたので、今は読む事が出来ない。太田出版の地下室で初対面の時から、倉数さんは攝津の事を変な人だと直感していたという。何故かは知らないが。攝津のほうの倉数さんの第一印象は秀才型という事だったが、外れていないと思う。が、単なる学校秀
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