生きる/攝津正
 
校秀才ではなく、倉数さんにも十分おかしな所があった。例えば、彼が自称する「ジャンク浪漫派」なるものも十分変である。超高学歴なのにワープアという生活振りもユニークである。中国の大学で働いているというのも、独特である。
 倉数さんが、柳原さんの小説を貶した事があったが、その傳でいけば攝津の小説など嘲笑の対象にしかならぬであろう。下手糞過ぎる。技術が無い。構成も方法も欠如している。だが、攝津は下手でも書き、そしてそれを公表する事、敢えて「恥ずかしい」事をする事を自らに課していた。倉数さんや田口君は立派な小説を書いても、それをインターネットで公開したりはしない。攝津はそれを勿体無い事だと感じていた。自分
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