生きる/攝津正
 
は電車内でも『禁色』を読み続け、帰宅してからも読んだ。そして遂に『禁色』を読み終えた。音楽は、松本茜の新譜に変っていた。浜村昌子から送って来る筈の小包は、帰宅した時まだ届いていなかった。
 昨晩は、肉体的疲弊の余り、数行しか書く事も出来なかった。音楽演奏はもとより、書く事すら出来ぬというのは、攝津に生命力の衰退を自覚させる。書けぬというのは、生きられないというのと同義に思えた。昨晩は、iwaさんとのチャットも途中で気分が悪くなり苦しくなり退席した。それ程苦しかった。肉体的に。やはり労働はきついものであった。
 労働がきつい。それは当たり前の事である。そんな事に堪えられぬようでは生きる事など覚束
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