生きる/攝津正
 
その事が忘れられてはならぬ。

 ところで攝津にとっては、賃労働も運動、スポーツだった。肉体労働だったから、体を動かし、冬でも汗をかいた。ピックが出来ないという評価を他人からされているようだったので、見返してやろうと一所懸命ピックした。それも、「有能な身体」を形成すべくしてやっている。
 攝津は会社の送迎バスで、『労働』への長文の批評をくれたN君と隣合わせた。いずれは正社員を目指したいが難しい、など話し合ったが、ほぼ同年代、同じような壁にぶつかり同じような事を悩んでいるなと思う。
 上原ひろみの『プレイス・トゥ・ビー』を聴き、二階に上がってきたら、テレビ朝日で失業者の死という特集をやってい
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