生きる/攝津正
 
街で可愛い少年を見掛けても声を掛ける事など思いも及ばなかった。要するに性的に、恋愛的に攝津はうぶであり素人であり、不器用そのものだった。攝津は自らの醜さに引け目を感じていた。メタボリックに弛緩した自らのだらしない肉体が他者にどう映るかを考えて、攝津は憂鬱になった。といって、本気で減量に取り組む気も無かった。つまり攝津は美についても真剣でなかったのである。他の諸々に真剣でなかったように。

 Qの松原さんから、彼のNAMサイト(http://re-nam.org/)で公開したいのでNAMの過去ログをくれないかと自由放送のMLで求められたが、攝津は躊躇した。先ずNAMやQの過去ログが入ったデスクト
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