生きる/攝津正
 
理だと思う。低賃金も我慢すべきだと思う。攝津の書く物には、自分しか出てこなかった。同性であれ異性であれ、恋人が、他者が登場する気配は無かった。実生活で恋愛経験が殆ど皆無なのだから当然だが、他者不在が閉塞感なり息苦しさを生んでいる、と自省した。攝津は「自省」する事しかしない。自分自身に注意が向き過ぎている、と転勤した前の主治医H 先生からも指摘されていたがその通りだと思う。行き過ぎた自己愛。自己愛故に死を思い自己愛故に死に切れぬのがひきこもり青年の心理だと斎藤環が書いていたが自分も同じだと攝津は考えていた。強過ぎる自己愛が現状への不満、不適応を生み、又自殺を決行するのを妨げる。その意味で攝津は自分勝
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