死の伝染/yumejiki
人の糞尿の臭いは吐き気がする
吐き気はするが辛うじて我慢は出来るレベルではある
だが、祖父の体を見るのは我慢できなかった
ガリガリに痩せ細った祖父の肉体は死人と同じで
顔中を支配している斑点は きっとあの世のできものだろう
つれてってやることが出来ない無力さと悔しさに 目玉が潤った
その斑点は あの羽虫と同じ色彩を放っていて 最低に気分が悪くなった
咄嗟に爪の中にある黒い異物を 祖父の枕カバーに擦り付けた
その時、祖父は口を開けた
その動きはまるでやわらかい飯粒を咀嚼するかのようにとても弱弱しく
母はほらお祖父ちゃんがあなたに挨拶してるわよと言ったが
そうはとても思えなかっ
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