竜の牙/いとう
 
頼みに行く者など
に分かれる。子供たちは興味半分に付いてい
くだろう。その子供たちの世話のために付き
添う女たちもいる。愛する者の亡骸を拾いに
行く女たちも。足腰の弱い年老いた者たちが、
村の番をする。現場の男たちは竜の肉を獣に
奪われないよう、寝ずの番をする。

日が暮れ、そこここで宴が始まろうとするが、
ネマ(*2)がそれを諌める。「竜の牙に気を
つけろ。竜はまだ見つめている。私たちは見
つめられている。牙は、呪いだ。どこまでも
呪いだ。」長はその言葉を重く受け止め、夜
は、静かにその帳を下ろす。長の一声で息を
する者もいなくなったように、ひたすらに、
村は朝を待
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