荒地にて2/徐 悠史郎
ほしい。ということで、愛と生なのである。ナイーブすぎると笑われても仕方がないの
だが、結局のところ、詩を愛し詩を生きること以外になすべきことはない。(同)
このエセーが掲載された『詩手帖』のこの号は「読者」がテーマなのだが、ここでの笠井氏は、言ってみれば、“読者と言うより前にまず自分自身が詩を読む者となり、詩を味わい尽くせ”という風に、作品の送達先である<あなた>よりも前に、読者としての自分自身を徹底させる方が先決だと述べている。つまり、「読者」とは徹頭徹尾<私>以外にありえないということである。これはもちろん、詩なんか書かずに読むほうに専念しろ、と言っているわけではなく、
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