今にも落ちてきそうな空をみた/影山影司
信心至らぬ白人が足裏より放つ獣臭にて日本国土を汚す事により、奇跡のエネルギィが霧散してしまったのである。空は緩やかに落下をはじめ、あわや地球と空が溶け合ってしまう、というところで空を受け止めたのは電線であった。漁船から放たれた投網が魚を捕らえるように、日本中に張り巡らされた電線は加重を分散して空を支えているのである。
閑話休題。
古くは木造電柱の時代から空を支え続けてきた仕組みが、今再び崩壊のときを迎えた。何故か。高層建築の乱造である。高度成長期では東京、大阪などの人口過密地域のみに集中していた高層建築が、いまや日本中で作られている。これは、網戸に鉛筆を突き刺すようなもので、一箇所
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