芦毛の伝説/ブライアン
 
で、男は大きく崩れた。
そのために、男は一瞬で眠りから覚める。
駅名を確認する。
夜。光に灯された、駅。

知っているか?と男は尋ねた。
馬の見かたってやつを、と。

握られた新聞を空席に置き去りにし、
男は足を引きずるような格好で、閉まりかけのドアから降りた。

中山競馬場へ向かう電車の中で
男は20歳くらいの若い男に出会った。
男はその若者に、一つの啓示を残した。
かつての老婆達たちの昔話のように。

男は、階段を下りながら思い出す。
意識とは遠いところ。
白い馬はブタだ、と。
ブタに100円だってかけられやしない、と呟いた。


1988年、地方競
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