パレード/古月
唄う、片隅の車輪。失くした足を縫い合わせた部屋。雨は降らない。落とした針だけが、緩やかに溝を深める。傷をつける。言葉は反復して、鍵穴を塞ぐ。窓を壊しても、外側は消えない。想像上の怪物。人と同じ怪物。感覚は認知する。実在を信じない。白紙に落ちる影の色彩。暗い場所で息をする。加圧と冷却。羨みと妬み、憎しみで育てる。他人の実在を信じる。架空の自分と、その位置。糸の先の針穴。向こう側の幸福。穏やかで優しい人が、罵声を浴びせる。窓を打ち付ける。想像上の抑圧と、想像上の自由と、現実の孤独。観念の遊び。抑え付けて、隠して、飲み込んで、壊れる。喚き散らす。暴れる。泣き叫ぶ。理由を得る為の行動。幼児期の傷が、溝から
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