パレード/古月
 
から針を逃がす。

街にパレードは来なかった。夜の大通りにはたくさんの人が溢れ、硝子球のような目はきらきらして、打ち上げられる花火を見ていた。明かりの消えた街並みは賑やかで、切り分けられたケーキのような景色に、蝋燭の明かりが灯されていく。カナリヤ色の刺繍で飾られた楽団の、掲げた筒の先からは真っ黒な煙がもくもくと上がり、煤で汚れた町に流れ星が落ちるたびに、子供たちの暗い横顔が明るくなった。光の尾を曳いて飛ぶロケットが、夜の星を落とす。お母さんは泣きながら、笑った。星になったお父さんが、帰ってくる。

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