パレード/古月
 
、ここにいたい。ただ、一度だけでも、誰か、一人の僕で居られたら、苦しむことで満たされるのに、何もないと震える指を重ね、握りしめた、祈りの形に吐き気がする。耳鳴りを懐かしみ探す、蜜蜂の羽音は、とても愛らしくて、脆い。羽ばたきは軌跡を描き、入れる鋏を知らない、指先は羽に触れ、不連続線を破る。認知できない、痛みは存在せず、深く突き刺した針が、抜けない。死んだ花を愛でる僕の、小指の先を君にあげる。目覚めたとき、きっと君は傍にいて、花に埋もれる、夢を見る。

朧げな輪郭を覗きこむ、日常的な行為。剥がれない視線に澱む、硝子細工の風船。見えないものを見る誰かの目と、拾い集めては捨てる笑顔。同調する鼓動を唄う
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