夜は沈黙の代価で震える/瀬崎 虎彦
およそ性別と呼べるものは
ないと思うのだけれど
それを立証できる気がしない
夜がタール
夜がタールの海に
夜がタールの湖にしたたる
浅い眠りを破って
殺される夢を見たような
誰か現実の世界で
私の後をつけてくるように
背筋を寒くする
出来事を思い出して
浅い眠りから帰ってくる
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
眠れない
少し眠ってしまったから
そう
だから今すぐは眠れない
このところ
お酒を飲む量が普通じゃない
自分でも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)