みなしごたちの夜/瀬崎 虎彦
 
僕の
君の中の誰か
誰かについて
誰かしら
思い返している誰

誰かしら
思い返しては
維持することの出来ない
記憶を記録して
記録を
記憶する

冷たい水銀灯の光
冷たい夜に冷たい光を放つ
疎遠な魂たちのように
子供たちはみな
手をつなぐことも忘れて
一心不乱に
回転する
回転する
回転する
回り始め
回り続け
回り終えない

不気味な目の光り
見開かれた目の光り
子供の
回転する子供の
回転する子供たちの
回転する目の
回転する眼球と
回転する眼球たちを
回転しながら観察し
回転するのを反映する
夜の子供たち
夜の子供
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