山田せばすちゃん『ハンバーグをめぐる冒険』について/田代深子
。かねてよりの言語へのこだわりと違和感に。
これがハンバーグに
なります
いつ?
その言語へのこだわりを捨て、一口を食べてしまえば、あるいは目前のハンバーグらし
きものは〈正真正銘ハンバーグそのもの〉である明証性を得ることになるかもしれないの
である。いや、無限の語を費やしても到達できないであろうハンバーグであることの明証
は、食べてしまうことでしか得られない。しかし語り手は捕らわれることを、むしろ選ぶ。
そして資本主義原理に則ってさっさと食べさっさと席を空け家に帰ってテレビを見るとい
う、彼の住む馴染みの世界から逸脱して、この資本主義的違和的ハンバーグ
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