山田せばすちゃん『ハンバーグをめぐる冒険』について/田代深子
 
々ににひっかかりを求め、その違和をいちいち言い立てようとす
る態度と根を同じくする。卑屈、そして偏屈な態度と言ってしまえるだろう。が、作品に
ただようのはむしろ哀れげなユーモアだ。何故ならここまででは結局、彼は冷徹な資本主
義原理の勢いと流れに負け続けるしかなさそうだからなのである。 
 しかしてここに〈正真正銘ハンバーグそのもの〉が登場する。〈正真正銘ハンバーグそ
のもの〉であるはずのものが。それは待ち続けた家族のもとに、混雑をかき分け美味しそ
うな匂いと音を立てやってくる。が、さあ食べよう、というそのとき、

  ハンバーグに
  なります

語り手は捕らわれてしまう。か
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