山田せばすちゃん『ハンバーグをめぐる冒険』について/田代深子
となっている。店員が使ったのはいずれの場合も“話そのものをぼやかしてその部面であ
ることを言う語”としての「ほう」であると考えられる。どの地域言語にも、断定的もの
言いを避け語調を和らげる語用法があるが、日本語標準語においてもそれは多様だ。客に
対して言語のみで明確な指示を出すより、実際に水のある方向を指し示しながら「お水の
ほうは…」言ってしまうのは親切であり、後半部はなくていいくらいのものだ。むしろ大
間違いはこの後半部にひかえていて、〈セルフとなっております〉…「セルフサービスと
なっておりますので、あちらからお持ちください」と言うのが、おそらく正確であろう。
ともかくも語
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