山田せばすちゃん『ハンバーグをめぐる冒険』について/田代深子
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村上春樹の小説『羊をめぐる冒険』で、主人公がハンバーグを作る場面がある。人里離
れた山荘まで友人を捜しにきたものの姿はなく、無為のまま彼を、あるいは何か変化が起
きるのを、その山荘でひとり待つときだ。主人公はハンバーグをたいへんまっとうに作り
ながら考える。
〈ここで山小屋風レストランが開けそうだ〉〈鼠が経営し、僕が料理を作る。羊男にも何
かできることはあるはずだ。〉〈ジェイ、もし彼がそこにいてくれたなら、いろんなこと
はきっとうまくいくに違いない。全ては彼を中心に回転するべきなのだ。許すことと憐れ
むことと受け入れることを中心に。〉
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