「名」馬列伝(14) メジロアルダン/角田寿星
 
いたであろう。
しかし、「生き残り」としての彼の競走馬生活は、常に脚元の不安との闘いだった。

デビューからわずか2カ月、4戦めにして臨んだ日本ダービー。
まずは大外から、スプリントさながらのダッシュでアドバンスモアが大逃げをうつ。
最終直線、2歳チャンピオンのサクラチヨノオーが先頭に立った。
彼が内から伸びて並びかける。しばらくの競り合い。一時は半馬身のリードを奪う。
が、ゴール間近で、チヨノオーがまさかの差し返し。小島太、気魄の好騎乗。
「根性なし」と揶揄されたチヨノオーの一世一代の差し返しだった。
その瞬間、ダービー馬の栄誉ある称号は、彼の元からすり抜けていった。
そして
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