『かえるのこ』/東雲 李葉
 
時間は年号よりも、
死んでいった人の数が気がかりで、気になって、
一人一人の一生に思いをはせては涙した。
「平等」の精神を訴えていた誰かさんは、
たぶん心がきれいだから、
私みたいな子がいるだなんて思わなかったのね。





理科の時間。教師に、人間の細胞の数を尋ねられて、
「60兆個です」と、当たり前に答えたら、
「気持ち悪い」
と、後ろの席の女の子たちが笑っていた。

なにが、なにが。

当たり前に知っていることだろう。
だけどこんなに、言葉も見つからないくらいにすごいことなのに。

なにが、なにが、

60兆のう
[次のページ]
戻る   Point(3)