『nopain island』/川村 透
々にとりあえず白や紺のナプキンをかけたまま
人々はテーブルを立つ、腕時計を気にしながらアリスのウサギめいた仕草を気取って
その靴音は朝の挨拶とBGM にまぎれコンソメスープの透明なうそ、の始まり
窓際のテーブルを拭く、
彼女はちら、と、ウインドウからビルの山並みの向こう、くすみかけた空を見た
と、ガラス越しに
ストリートを歩くひとりの少女に、ぎくり、と惹きつけられてしまう。
少女はジーンズに男ものの白いワイシャツをふわりと着こなし薄く胸をはだけ
胸元にはペンダントじみた何かの紋章めいた刺青をしている
右手を頬に当てる、少女の手の甲にも刺青が、
スタイリッシュにワンポイン
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