演技/殿岡秀秋
 
小学生のころは
苦手な体育と図画工作の授業がある明日が
はやく終ってほしかった
「ちっともうまくないからやめてしまえ」
とぼくはいう
「そうはいかないんだよ」
と役者のぼくがこたえる
その日その時になると演技している

中学校の期末テストも
高校の入学試験も
受けているのは役者のぼくだ
終わるまでうなだれて
ぼくは待っている

授業を受けているときも
クラスメートと話すときも
役者はいそがしく働いている
仲がよい友達と遊んでいて
つい気が緩んで
ぼくが顔をだして
乱暴な言葉使いをすると
見知らぬ者を見るように
友が驚いてしまう

大人になったら

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