黄昏に告ぐ/みつべえ
て失われてゆく者なのだ。それは星の屑の宿命であるから従わねばならぬ。過ぎ去ったものだけが私の所有であると考えていたセンチメンタルな季節も枯れた。いのちのゴクツブシである裸体に枯れ葉をまとって、いままさにこれをほざいている場面からも消えて行こう。
よしんば私の妄語が真理であるにせよ、事態は少しも変わらない。あなたが自分だと思っているあなたが、実はあなた自身ではないように、私が私でないと思っている私こそ私自身である。
私でないと私が思っている「私」を認めるのは苦痛だ。けれども現実はあらかた「私」によってなされているので、外部における私の位置、他人の私についての噂、企業のコンピューターにインプッ
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