待ち時間の使い方/智哉
 
粘膜の味を知った
当時君に彼氏がいたことを知るのはそれから2年後だ

君のアパートのDVDデッキが真夜中に壊れた
70分の道程を車で20キロの工具を持って走った
あの時開いたのは壊れたデッキの取り出し口か
それとも君の気持ちだったのかは今もわからない
けど僕らの距離は初めて君を抱いた夜よりも
はるかに急速に縮まった気がしたんだ

君の料理はいつも最高だった
僕を足にした夜は決まって手料理を作ってくれた
今思えば、それが僕にとっての太い首輪だったのかも

君は突然音信不通になったりした
決まって新しい獲物を捕まえた時期に
そして突然『飲みに行こう』って連絡してきた

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