制裁/高杉芹香
して。
夕べもインチキな英語で歌を歌っていた。
それを聞いていたら
あたしはどうでもよくなってベッドにもぐった。
あたしの不機嫌を気付かないフリしてきみもまたベッドに入った。
即座に寝息みたいな音立てて。
寝てなどいないくせして。
細くて白い長い腕であたしを後ろから包んだ。
あたしの周りには
優しい人ばかりだ。
けど。
どれが本物の優しさだというのだろう。
この男もまた優しい人だろうが。
彼もまた。
あたしをさびしくさせる。
そんな体温が欲しいんじゃない。
適当なことばなら喋らなくていい。
相変
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