花は女の匂いがする/亜樹
 
るのに、私より頭一個分背が低かった。
 先輩は生まれたての子どものような髪をしていた。それは綺麗なストレートで、私のごわごわしたくせ毛とは全く違っていた。
 先輩は私のことを***ちゃんと呼んだ。私のことを***ちゃんと呼ぶのは先輩だけだった。他の人は誰もそうは呼ばなかった。先輩だけが呼ぶ名だった。
 大学2年の冬だった。
 飲み会の帰り道、私は先輩を連れて先輩の家に向かっていた。先輩は、さほど強くないのに、いつも限界を超えて飲んでいた。
 先輩は、つい先日、院生の彼氏と別れたばかりだった。それまでいつも、その彼氏が迎えに来ていたので、私が彼女を送って帰ったのは、それがはじめてだった。
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