家族/水町綜助
は川で
ドンドコ川下へ流れていった
もう目で追うことはできなかったので
空想すると
すぐ海に出た
嵐の夕暮れだった
桜は白い波にのまれ
浮かぶことはなかったが
海水の中をひらひら
舞い落ちて散った
それは結局
川沿いで散るのと同じことだった
*
海水というのは
本当に塩辛い
一口含むと
気が遠くなる
ぎゅっと目をつむり
飲み込むと
叱られたことを思い出す
母親とか
とくに女の子に怒られたことを
*
夕日が海へ沈み込んでも
だいだい色の水にはならないから
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