家族/水町綜助
 


空想する

絵筆にたっぷりと染み込ませて

一息に沖合から

この足下まで光線を引く

波打ち際で掠れるけど

気にせず引くと

つまさきが熱かった


それは沖合から連なった

家族たち

その長い時間に流れた血液の

温度かも知れなかった



目を開いてとなりを見ると君がいて

僕たちの後ろから

子どもの声が聞こえた

ふり向くと

砂浜にはバケツとスコップがあって

高い防波堤の上には

まだ青いきれいな夕空が見えた







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