九十九神/ルナ
 
夏の暑い昼下り
溶けて落ちたアイスクリーム
ちっぽけな黒蟻が群がる
うじゃうじゃと
小刻みにうごめく黒い固まりは
ただただ気味が悪いだけだった

ほたるこい
の歌のように
自分の水は甘いと誘う
その行為は人間のエゴであり
悲しいものだが
悲しさ故の人間の行為なのだろう

人間は悲しい生きものだから
優しさに触れたくなる
家族愛、隣人愛
そんな言葉に触れては自分と重ね
または昔の
少し美化された面影の人と重ね
そうやって共感して群がってくる
特に否定もしないが
肯定などもちろんしない

愛情と憎しみは表裏一体であり
命懸けで愛した人に裏切られるほど
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