スパイ女房/青木龍一郎
たちが悲鳴を挙げている。
僕が母親達に近づくと彼女たちはみんなそろって腰を抜かしてしまった。
挙げようとする悲鳴は声になっておらず、涙を流しながらかすれた声を漏らすだけだ。
ただ口をカタカタ震わし目を赤くする彼女達と
僕はジリジリと距離を縮め、壁に追い詰める。
そこで僕はボロボロの傘を使って歌舞伎の真似をした。
片足を上げ、手をパーにして前に突き出し、寄り目の顔を作り
「僕は歌舞伎者だぞう。エッヘン、参ったか」
と言った。
その瞬間、母親達はこぞってショック死した。
息絶えた母親たちの横で赤ん坊達はずっと泣いていた。
僕は残された赤ん坊6人を全員抱きかかえ
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