ユダヤ人自身による反ユダヤ主義/A-29
、あるいはシオニズムとユダヤ教との間に一定の乖離があるのではと想像せざるをえないのだ。そういう観点からすると、当論文中の以下の部分は興味深い。
《レッシングが呼びかけたシオニズムは宗教的に中立的な運動であったし、今でもそうである。当初からシオニズムはユダヤ教に対してはある種の敵対的な関係にあった。ユダヤ教は何といっても、イスラエルは世の終わりにメシアによってのみ再建されうる、と信じているからである。》(ボリス・グロイス「ユダヤの逆説、ヨーロッパの逆説 —テーオドール・レッシングの『ユダヤ人の自己憎悪』によせて—」(『思想』806、1991))
《その哲学的見
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