詩人のティッシュ(満帆さんに韻文レスバージョン)/佐々宝砂
ずかしくなかった。
初恋の彼は背が低いくせにゴールキーパーやっててね、
かっこよかったけど、
私のほうが背が高くてさ、
私自身がそれをとても気にしてた。
そんな話、
正直どうでもいい。
あのひとのほかはみんなどうでもいい。
どうでもいいどうでもいいと呪文のように唱えながら、
テント背負って家を出て、
秋口の山に生え始めた謎のキノコをとって、
一人前のキノコ鍋をつくる。
たぶんカワムラフウセンタケだと思うけど、
もしかしたら毒かもしれない。
これ食ったら死ぬかな。
死んだらあのひとは一応悲しむだろう、
でも泣かない。
絶対泣きはしないだろう。
悲惨な事件の
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