製氷器。午前0時。/あぐり
っていって製氷器の白い光も見えなくなるかもしれない。目を閉じられない僕の前で白蛇がきらびやかに叫び続けていくから、愛しくてせめて、名前を僕が呼べたなら良いのにと思うのです。そうしている間にも製氷器に溢れていく僕の心。心。きっと1つの製氷器では足りない。明白な事実。でも僕の家の冷凍庫には製氷器は1つしかないのです。布団に沁みていく僕の心は朝というものがきたらどんな風に輝いて僕を安堵させるのだろう。もうすぐ一時間が経つのですが止まってはくれない病んだ止まずの心の灰の水の心。灰色に濁って冷たい。指で少しすくいとってみたいけれども指はおろか足も首も、もう寝がえりすら出来なくなった自分に気付く。そのくせ震え
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