今日、鶏のシチュー/瀬崎 虎彦
で、私たちという関係を見失うことが決してない。君は学校が休みで、家にいる。さっき台所にシチューを作った鍋があった。ご飯も炊いてあって、君はこれをご飯にかけて食べるのだろう。私は君の作るシチューが好きなので、機嫌が良くなる。
コーヒーを持って君の部屋に行く。そこは和室で、机を置いてある場所だけフローリング風のマットが敷いてある。君の持ち物で四番目に高価な椅子は、畳を傷めないようにと、マットの上にさらに透明なプラスチックの板を敷いて、その上に置かれている。君が椅子の上にあぐらをかいて本を読んでいる。夏休みの前半、論文を一つ書いた。それが君の夏休みの宿題で、私は今朝それを投函してから仕事に行った。
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