スモールワールド/あすくれかおす
 

冷凍庫には氷しか入ってない。深呼吸する。あの神聖な匂いがする。



見上げる。空で、誰かのアーチを見つける。誰かの虹を。
粒子がぐるぐると地面から出てきては半円を描き、吸い込まれていく。
鉄線を拾って先端を押しあてる。アーチがぎぎぎとうめく。女のひとの話し言葉を再生する。
「キラキラしたものが好き。朝の光が好き。
土木作業員募集の看板が光るのも大好き。文字たちは光合成なんかしないね。呼吸もお喋りも。だけどそれは。今この瞬間の光の現象にきっと溶け合っているんだ」



明るさを見失ったら夜。何も言うことがなくなったら朝。
午前早朝。枕元で眠る、裂けるチーズ。を静かに裂く
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