指輪/灯兎
も思ってる。知ってた?」
だからそんな風に泣きそうな眼をしないでくれ。
「じゃ、さよなら。もう逢えないけど。……これは知ってたでしょ?」
それは恋じゃないんだ。だから、だから、最後にせめてもの償いをしよう。
「ありがとう。それに僕も君のことは好きだよ。もしその形が違うだけなら、そのでこぼこを重ねて一つにすればいい。それが恋だ。けれど、僕と君の感情は種類が違うんだ。
だから、君の気持ちには応えられない。」
「最後まで、あなたらしいんだね」
そう言った彼女はもう泣いていて、けれど最後の時を繋ぎとめようと、笑んでさえいた。
「本当にありがとう。君なら、きっとこれから
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