指輪/灯兎
な生徒の溜まり場にならないように、活動時期以外はストーブも電気も点かない。だから今日は外とほとんど変わらない寒さで、窓には雪がステンドグラスみたいに張り付いていた。
「あのね、あたしにはずっと好きな人がいたの。遅いけど、これが初恋になるのかな」
切りだした彼女に、驚いた。もちろん内容もそうだけれど、瞳の強さがそうさせたのだと思う。暖かくなったり冷たくなったり、温度の変化と共に大きさを変えて、けれどその強さは失わない瞳。こんな表情を見るのは、これが初めてだ。
「こんなにちっぽけなあたしだけど、その人のことを精一杯愛したんだ。結局は何もできなかったけれど、それでもあたしなりにずっと彼のこと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)