指輪/灯兎
 
からって喧しい俺も見たくないだろうに」
 そう言うと彼女は朗らかに笑んで、頷いた。一年の時に委員会の活動で同じ班に回されてから、ずっと一緒に活動をしてきた仲だ。同期が次々に辞めていく中で、彼女の笑顔に救われていたこともあったな、とぼんやり思う。
 「それで話って?何かあるみたいなことを前に言っていたけれど」
 「ううん、大したことじゃないの。でも、人前では話したくないから、会室に行かない?」
 僕は東京の大学に進学する予定だし、彼女は地元の国立大に進学することになっている。こんな風に僕らがさんざん活動した部屋で話せるのも最後だろうと思って、着いていくことにした。

 会室は僕みたいな生
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