鰻の行方/亜樹
プールで、生ぬるい塩素の溶けた水をかぶるよりどれほどましかわからない。ここいらの部落で、十より年かさの男児は、だれもわざわざプールなんかにいかない。学校は川遊びを禁止にはしていなかったが、それでも一応『一人では遊ばない』という注意事項は、休み前に配られるプリントに記入してあった。そのため、子どもたちは集団で遊ぶ。川べりをさすらい、時に岩から飛びおり、また明日遊ぶからとそこいらの木に水着を干して帰る――その様はさながら川童のようであった。
そのうちの一人が、その日、魚を取ろうと言い出した。川童たちは賛同した。それまではしゃいでいたところから少し川上に移動すると、12時の町役場のサイレンがなるまで
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