ホイップ/丘野 こ鳩
 
すむ
公園では昆虫にモテていました
あとからあとから湧くもの
喧しい生命
野の草のようにほほえましくてどうでもいい思いで

葛の蔓が腕をのばして街灯の頭をへし折る
野山が黒々と距離を呑んでめり込む
各家庭で夜なべが遮断され
営みが増し
さらに子供が
虫のように子供が

歓声とくらがり
なまあたたかいぬくもり
坂道に転がした体で藻屑ごっこ
押し込められた太陽光がマントルにまで浸透し
地下からの発光によって
地上の影が更に濃くなる
顔のない人間を捕まえてくる
煮え滾った自惚れを叩きつけ流し込む
うだつのあがらないけものが
人格をおしつぶして駆け昇った甲斐を得
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