ホイップ/丘野 こ鳩
を得に来た
喉が
つぶれたら目が
見えるようになるだろう
沈黙の分だけ
聞けるようになるんだろう
ざわめき ささやき いのり ねがい おまじない
だが空想 それは死ぬまで果たされない仮定だ
骨を鳴らして降らすリズムにひずんだ肢体が森の梢にへばりつく
これも珊瑚 黒く塗れた野山は海底
すべての個体のもつ退屈が
何世代もを越え濃くなりすぎた血を噴き出す遊びを流行らせた
1mmずつズレながら
遊びの境を引き延ばしていく
命の琴線を綱渡り
同時多発的暴発
海底から根こそぎ干上がるような爆撃
さらさら波にゆられる
水の泡 骨の砂
くたばりぞこないのヘルツに捧ぐコラール
どんな状況にあっても情感を食べたい飲みほしたい
地底にあって寝がえりながら
瞬き
ああ喉が渇いた
これはつぶやき
おまじない
暴発のためのメルヘン
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