腹痛/敬語
は何も出てこない。
指輪も臓器も、肉も血も。そう、なにもかも。
不思議に思った僕は裂けた腹に手を入れ、中を探ってみる。
がさがさと。ごそごそと。ぐちゅぐちゅと。
しかし、そこには何も入っていなかった。
指輪も臓器も、肉も血も。そう、なにもかも。
おかしいな。
おかしいな。
おかしいな。
なんでだろ。
なんでだろ。
なんでだろ。
すると、答えの出ない自問自答をしている僕にナイフが話しかけてきた。
お前ごときに分かる訳ないだろ、と。
何故かと聞くと、ナイフは不適に微笑みながらこう言う。
だってお前なのだから、と。
それを聞いて
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