腹痛/敬語
 
いて僕は微笑む。

あぁ、正しくその通り。
だって、僕だもの。他ならぬ僕だもの。




そうこうしているうちに寝室で寝ていた妻が起きてきて、何を騒いでいるのかと聞いてきた。

僕はなんでもないと言う。
ナイフは僕の腹には何もないと言う。


それを聞いた妻は僕の腹を眺める。

そして、
あら。まぁ。何もないわ。と呟いた。

さらには、
最近、収納スペースがなかったから助かるわ、とまで呟く。



それを聞いた僕はこう漏らす。
おかしいな。

それを聞いたナイフはこう正す。
おかしくはない。

それを聞いた妻はこう締めくくる。
おかしいかしら。


そして満タンになるまで鍋や薬缶を詰め込み、妻は満足して寝室に戻っていった。

僕もそれに習い、手に持っていたナイフを腹の鍋と薬缶の隙間に詰めて、ソファーに寝転がった。




何故か、お腹が痛い。




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