遺書(1)/虹村 凌
いのは、男女で通学したり、通勤したりするカップルである。彼らは、会話をしたり、しなかったりする上に、その会話の内容も千差万別である。下さない話から、真面目な議論まで幅が広い。面白いのは、下らない話の方である。何故、その会話に至ったのか。会話の切欠なんぞ、そこらじゅうに転がっているのであるが、しかし、その会話に至った経緯が気になる。例えば、昨日職場で見かけた女性の服装等が話題である場合、何故、今日になって昨日の話をするのか。ただ単に昨日は忘れていたのか、何らかの拍子に思い出したのか、それとも似たような服装の人物とすれ違ったのか。他にも色々あるだろう。そのファッションを肯定したり否定したりを繰り返しな
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